Feb.28 「Robot Literacy Roundtable」開催レポート

 2021年2月28日(日)、メディアとしてのロボットに対するリテラシー研究に関して、Robot Literacy Roundtable(非公開)をオンライン開催しました。その概要についてレポートします。

出席者:ペク・ソンス(神田外語大学)、飯田豊(立命館大学)、加藤薫(博報堂DYメディアパートナーズ・メディア環境研究所)、勝野正博(東京大学)、水越伸(東京大学)、野田絵美(博報堂DYメディアパートナーズ・メディア環境研究所)、杉本達應(東京都立大学)、宇田川敦史(東京大学)

 コロナ禍の社会生活では「無人コミュニケーション=ロボット」の重要性が再認識されています。ロボットは長らくSF・アニメの主役でした。これからはロボットを「普段使い」する暮らしがニューノーマルとなるかもしれません。一方、そのような生活ではロボットをめぐる様々な問題が起こることでしょう。これらに対処するには、先端技術と生活文化の橋渡しが必要となります。ロボットの社会実装を円滑に進めるために、ロボットに対する社会と個人のリテラシーを育む環境=土壌の整備を進める必要があります。

 このような問題意識のもとに行なったロボットのメディア・リテラシーにかかわる議論をご紹介します。

  • ガンダム、ロボホン、アンドロイド女子アナ

 横浜山下ふ頭「実物大の動くガンダム」、「ロボホン」、アンドロイド女子アナ「アオイエリカ(日本テレビ)」など、日本人が持つロボットのイメージは、ヒューマノイド(人型)に固定されているかのようです。小中学生向けのロボットWSにおいても、日本では実際には動かないヒューマノイドロボットの模型を作成する参加者が多くいました。米国ではロボットの姿形にはこだわらずに、実際に動くモノを一生懸命に創ろうとしていた、という話も聞こえてきます。日本は「マニアックなロボットオタク文化」の影響により、世界のロボット開発トレンドからずれ落ちてきているのではないでしょうか。

  • EV、プラットフォーム、新しいモノづくり

 世界の投資動向ではEV(モビリティ)、プラットフォーム(GAFA、BATH)、新しいモノづくり(3Dプリンティングなど)への資金投入が顕著です。この流れから推測すると、ヒューマノイドより人間とコミュニケーションを行いながら活動する「Kinght Rider(ナイトライダー)」のような自動車や、IoTを活用し日常生活や医療行為をサポートする「ロボティクスルーム」のようなロボットの社会実装が、まず実現しそうです。

 このようなロボットとのコミュニケーションでは、「音声」が重要な鍵となるでしょう。ある実験の参加者インタビューでは、相手が冷蔵庫でも音声コミュニケーションが成立すると答えた人がいました。反面、壁や天井などから音声コミュニケーションが行われると「監視」と感じて、プライバシーのリスクを危惧するとの意見もありました。

  • ロボット・リテラシー育む土壌づくり

 ロボットの概念を広げた上で、階層化・類型化をしてゆく必要があると考えています。1920年「R.U.R.」が初めて提示したロボットの概念を異化し、新しい概念に拡大してゆくためには、SF小説・映画などでの描かれ方を丹念にみていく授業が有効だとの提案がありました。また、技術的なアプローチとしてテクノロジーハック「ハッカビリティ」教育を行なっているものの、制作されるモノがGAFAなどプラットフォームのAPI活用に留まる現状があります。私たちはさまざまなレイヤーにおいて、プラットフォーム企業の支配下にあることを自覚する必要があります。

 韓国ではコロナ禍による社会環境の変化に直面し、一般の人々が新しい技術やメディアを積極的に生活に取り入れる動きがあるようです。しかし、日本では新しい技術やメディアに対して、行政・企業をはじめ若者たちでも保守的な対応が目立っています。メディア・リテラシー教育も保護的な内容に終始している感があります。

  • 人文社会系の知はロボット(技術)にいかにアプローチしうるか

 ロボットの社会実装に向けて、人々はどのようにロボットと関わっていくのでしょうか。その方向を指し示す「ロボット・リテラシー」の理論・調査・学習システム開発の意義は大きいものと考えています。

(勝野正博)